こんなご質問を頂きました。
ちづるさんは塗り絵を始めてから、自分の中で変化したことはありますか?
私は絵心がなさすぎて絵を描くのが大嫌いでしたが、塗り絵を始めてから色鉛筆を好きになり、塗り絵以外にも自分で絵を描きたいと思うようになりました。
今は簡単なイラストから練習しています。
ちづるさんは、塗り絵を始めてから一年以上経ったそうですが、何か塗り絵の効果を感じましたか?
巷で言われている、リラックス効果とか自律神経が整ったとかでも結構です。
実際に感じた、こんな変化や効果があったということがありましたら教えて下さい。
塗り絵から派生して絵も描くようになったとは、とても素敵な相乗効果ですね。
この方がおっしゃるように、一般的に塗り絵はリラックス効果や自律神経が整うということが広く言われています。
おそらく、私にも多少それなりの効果はあったんだと思いますが、 あまりそれを「効いてる効いてる!」と感じたことはありません。
どちらかというと長時間やりすぎて具合が悪くなることの方が多かったです。笑
今回は、一般的に言われている効果とはかなりかけ離れていますが、塗り絵を始めて1年経った今、私が感じている塗り絵の効果をお話ししようと思います。
自分は何が好きなのかわからない!
「自分は何が好き?」
「自分は何がしたい?」
「自分はどうしたい?」
皆さん、自分自身に対するこの質問にパッと答えられますか?
塗り絵を始める前の私は、答えられませんでした。
私は大人になり、就職してから、少しずつ自分が何が好きなのかわからなくなっていきました。
仕事に対する向き合い方、職場の人との付き合い方も初めてのことばかり。
職場でどういう風に振る舞ったらいいのかがわからない。
そのため、素の自分を出すことができず、逆に「こうあらねばならない」、「こうしないといけない」と自分を縛っていくようになりました。
また、他人の目を気にするあまり、思うように本当の自分を出すこともできない。
自分の好きなものを素直に「好き」と言うことにも抵抗がありました。
こうして出来上がったのが、建前としての自分。
こんなことを続けていたら、気付いたときには自分が何が好きなのかわからなくなっていました。
この頃の1番嫌いな質問は、「趣味は何?」でした。
無難に読書と答えていましたが、特別な趣味と言えるほどではありません。
他に何か夢中になれるものはないかと探したこともありますが、時間を忘れて夢中になれるものはありませんでした。
隣では夫がカメラにハマっていて、毎週末の休みは楽しそうに写真を撮りに出かけて行きます。
もう、うらやましくて仕方ない。
そして、休日を体力回復のためだけに過ごす自分が嫌で仕方ありませんでした。
塗り絵で生じた変化
こんな風に、塗り絵を始める前は、自分は何が好きなのかわからなくなっていました。
塗り絵自体も、「私これが好き!」というような積極的な気持ちで始めたわけではありません。
本屋で見かけ、ネットで調べて興味を持ったのが始まりです。
最初は、自分にできるのか、すぐ飽きちゃうんじゃないかと不安の方が大きかった。
これで夢中になれなかったら、自分には熱中できる趣味が何もないことを突きつけられてしまう。
それが怖かったのです。
夫から「やってごらん」と背中を押してもらって始めた塗り絵。
最初は無難に有名な「ひみつの花園」を購入しました。
繰り返しになりますが、この頃は自分が何が好きかわからなくなっていたため、どのページから塗りたいのか、何色で塗りたいのかもわからない始末。
重症です。
とりあえず簡単そうなページを選び、何も考えずに気の向くままに色を選んで出来上がったページがこちら。
どうよこれ……。笑
いかに病んでいたかがよくわかる作品です。
しかし、幸いなことに塗り絵は私に向いていたようで、苦もなく楽しく続けてこられました。
塗り絵本を1冊買うにしても、どんな塗り絵本が好きなのか、どんなテイストのイラストが好きなのか、塗り絵本を選んで買うこと自体が、私の中の「好き」に対するセンサーを磨く練習となりました。
また、Instagramで他の方の作品を大量に見ることで、この塗り方が好き、この配色が好きということもわかってきました。
数年ぶりに感じるワクワクする気持ち。
充実感。
あんなに何が好きかわからなくなって悩んでいたのに、気づけばブログを作るほどにまでハマっている自分がいました。
「好き」に対するセンサーは簡単に錆びつく
今年の9月に放送された「渡る世間は鬼ばかり」のスペシャルドラマ。
親の影響でハマって昔からよく見ています。
今回は、泉ピン子演じる五月(さつき)が、中華料理屋・幸楽の改装のために1ヶ月休みになるところからスタートします。
娘夫婦や夫の勇(いさむ)は、「せっかくの休みなんだし、趣味でも見つけて好きなことをしろよ」と言ってきます。
しかし特に趣味もない五月は、久しぶりに姉妹のところに顔を出し、何か自分にできることはないか奔走する……というのが今回のスペシャルドラマの内容でした。
このドラマを見て声を大にして言いたいのは
「趣味なんてそんなに簡単に見つからないんだよ!」
ということです。
主人公の五月は結婚前から長年幸楽で働いてきました。
お店の仕事や家事育児、時には姑や親戚との対立などなど。
それがドラマの見どころではあるんですが、五月は日々の忙しさに忙殺され、自分の時間はありませんでした。
家族のために懸命に働いてきた五月は、自分のために自分のことを考えるということをしてこなかったんです。
そんな人がいきなり放り出されて「好きなことをしなよ」と言われてもできません。
長年の間、「自分は何が好きか」を自分に聞くことをしてこなかった。
つまり、自分の中の「好き」に対するセンサーが完全に鈍くなっていたのです。
塗り絵を通して「好き」に対するセンサーを磨く
「自分は何が好きか」
一見簡単そうな問いですが、このセンサーは気をつけないとすぐに鈍くなります
ちょっとしたことでもいいから、自分は何が好きかを意識していかないと、センサーがどんどん鈍くなっていき、気づけば自分は何が好きなのかわからなくなってしまうのです。
私が塗り絵を通して感じた効果は、自分の「好き」に敏感になったということ。
もちろん意識して「何が好きか」を自分に聞くようにしてきました。
塗り絵を始めてから、自分の中の「好き」に対するセンサーを働かせる場所はたくさんありました。
塗り絵本を選ぶとき。
塗り絵で色を選ぶとき。
どのページを塗るかを選ぶとき。
毎回毎回自分に「何が好き?」と聞き続けてきました。
今回のお話は、「塗り絵をするとすぐにこんな効果が出るよ」というよりも、塗り絵を通して自分の中の「好き」に敏感になる練習ができたという表現の方が正しいかもしれません。
終わりに
皆さんからお悩み相談を頂いて1つ感じたことがあります。
それは「皆さん良くも悪くもマジメだなぁ」ということ。
塗り絵は趣味だからそんなに難しく考えすぎなくていい。
これは皆さんもよくわかっているはず。
でもやっぱり皆さんマジメだから、ついつい「こうしなきゃいけない」と考えがちなのではないでしょうか。
「こうしなきゃいけない」ばかりだと辛くなるし、自分は何が好きなのかわからなくなっていくこともあります。
だから、勇気を出して「こうしなきゃいけない」を捨ててみてください。
そして自分に聞いてみて下さい。
「自分は何が好き?」
「自分はどうしたい?」
これを続けると、塗り絵と向き合う時間がより楽しくなるはずです。
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