大人の塗り絵について、こんなお悩みをうかがいました。
塗り絵を始めたばかりの作品を今見返すと稚拙に見えるが、当時は難しいことは考えずただ楽しく塗っていたのに、いつの間にか「楽しむ」ことより「上手く塗る」ことばかり考えていて、今や「上手く塗れなければ楽しくない」などと思っている。
とのこと。
この方は、上手に塗ることが出来ないと感じていて、塗り絵を楽しめなくなっているようです
すごーーーくお気持ちがよくわかるお悩みです。
私も似たように感じたことがあります。
今でこそ悩みや葛藤は大分落ち着いてきましたが、やっぱりこの方と同じようにあれこれ悩んできました。
そんな中で、楽しく塗るためにどんな心持ちでいたのか。
今日は、そんな大人の塗り絵にまつわる悩みについて書いてみました。
塗り絵を始めた頃は純粋に楽しかったのに……
この方のお悩みで、私が特に共感したのは最初の部分。
「塗り絵を始めたばかりの(中略)当時は難しいことは考えずただ楽しく塗っていたのに」のところ。
これね、私も本当に今でも思う。
あの頃の気持ちは一体どこにいっちゃったの!?
最初は本当にただ塗るだけで楽しかったし、夢中になって塗っていました。
しかし、いつからそれだけでは楽しくなくなってきたのか。
SNSで他の上手な方の作品を見て、素直に「すごい!自分もこんな風に塗りたい!」と思えなくなったのはいつからだったのか。
誰だって純粋に楽しみたいはず。
なりたくてこんな気持になるわけではありません。
上手くなりたければ技法書を読むのが近道だけど……
上手になりたければ、色鉛筆の技法書や配色の本を読むことが大事。
私もそう思って、本屋で何度も色鉛筆の技法書を立ち読みしました。
でも、なぜかどれもしっくりこないんです。
数多く出版されている色鉛筆の技法書のどれを読んでも感じてしまうのが、
「私が塗りたいのはこういうものじゃない」
ということ。
「技法書の技術が身についているわけじゃないのに、何をえらそうに」と思うかもしれません。
でも、技法書に載っているように塗りたいかというと、多分そうじゃない。
今までSNSやブログ等々で、たくさんの方の塗り絵を見てきて、「この人の塗り方を目指したい」と尊敬できる方に出会えました。
でもその方は色鉛筆の技法書を出版しているわけではありません。
自分が憧れて尊敬して目指している塗り方と、一般的な技法書の塗り方とは大きな開きがあって、技法書を買うことが自分の目指す塗り方につながるようには思えないのかもしれません。
(決して、尊敬する方が技法書の技術が身についていないということではありません。私が知らないだけで、その方も技法書で勉強しているかもしれません。)
要は、私はまだ技法書の必要性がわかっていないのかもしれない。
今はまだ技法書を買う気にはなれないけれど、今後どこかのタイミングで必要性を感じることがあるかもしれません。
そのときは素直に技法書に頼ってみたいと思います。
じゃあ技法書にも頼る気にもなれない、そんなときはどうしたらいいのか?
上手か下手かではなく、自分なりのこだわりがあるかどうか
以前、こんな記事を書きました。
意外と共感してくださる方が多くて驚いた記事。
こちらでは、1つの作品で何か1つチャレンジしてみることを提案しました。
ただ、「チャレンジ」と書くと、何かすごいことをしないといけないんじゃないかとちょっと気構えてしまいそう。
でもそこまで大層なことじゃなくていいんです。
「チャレンジ」じゃなくて、自分なりの「こだわり」を盛り込むのはいかがですか。
上手か下手かどうかに焦点を当てるのはやめてみませんか。
少し意識を変えてみませんか。
大事なのは、その作品に自分なりのこだわりがあるかどうか。
私が塗り絵を始めてからずっと意識していることは、先ほどのチャレンジにも近いですが、何よりも「作品に自分なりのこだわりを盛り込むこと」。
そのこだわりは、
誰にも気付かれなくてもいい。
自分だけしかわからなくてもいい。
自己満足でいい。
でも、この「こだわり」があるのとないのとでは、気合いも仕上がりも達成感も大違いです。
重ねて言いますが、「こだわり」は本当に些細なことでもいいんです。
何かテーマを決めてみることはもちろんのこと、ただただ新しい色鉛筆に慣れることでも良い。
参考に、今まで実行してきた私のこだわりは以下のとおり。
・「イスラム文様」や「和もよう」などの模様系塗り絵は水性ペンで塗る
・模様系塗り絵はモデルを参考に配色を決める
・模様系塗り絵はシルエット風に塗る
・36色色鉛筆でどこまでできるのか頑張ってみる
・同系色重ね塗りをして、色辞典の色みにひたすら慣れる
・水彩色鉛筆(ドライ)の色みにひたすら慣れる
・背景は下手でもいいから描き込みをする
・塗った後さらに切り抜いてみる
「チャレンジ」することと大差ないかもしれませんが、すべて私なりの「こだわり」でもあります。
今までの作品の中には、他の人から見たら「これはちょっと微妙……」という作品ももちろんあるでしょう。
でも、自分にとっては、どの作品も自分なりのこだわりがつまったものばかり。
だからどの作品も愛着があるし、それぞれの作品についてのこだわりを聞かれたらほとんど答えられると思います。
自分なりのこだわりを意識して塗るようになってから、ただ漫然と塗ることはほとんどなくなりました。
たくさんある塗り絵本のどのページも、イメージが湧くまでは手をつけません。
たとえ出来上がりがイマイチだったとしても、自分なりのこだわりを盛り込んだ作品であれば失敗ではないと思っています。
このような塗り方になってからは、「上手か下手か」を気にすることもなくなりました。
もちろん今も、他の方の作品を見てうらやましくなることはあります。
しかし、それよりも自分にとって大事なのは「上手か下手か」ではなく、その作品が自分なりのこだわりがある自分らしい作品になっているかどうか。
最終的には技法書をきちんと読んで、技術を一歩一歩着実に身につける努力も必要でしょう。
しかし、その前に塗り絵を楽しめなくなってしまっては意味がありません。
自分は塗り絵をどのように楽しみたいのか。
どんな塗り方をしたいのか。
皆さんなりの「こだわり」を作品に盛り込みながら、楽しく想像してみませんか。
思い切って時間を置く
ここまで長々と書いてきましたが、塗り絵が楽しくないと感じたら、いさぎよく休むのも1つの手です。
以前こちらの記事でも書きましたが、少し時間を置くと自然とまた塗りたくなります。
これは結構効果があります。
SNSを見ると、他の方が続々と塗り絵を投稿していて焦るかもしれませんが、そういうときはSNSを見るのもやめる。
とにかく塗り絵自体から距離を置いてしまうのです。
つい先日も、私自身塗り絵が行き詰っていました。
ちょうどお盆時期で実家に帰省する予定があり、いつもなら実家に塗り絵を持って行くんですが、そのときは思い切って持っていくのをやめました。
結局一週間近く一切塗らず。
それが良かったのか、実家から戻ってきたときはすんなり続きを塗ることができました。
しかもあんなにだらだら塗っていたのにスピードアップ。
焦ったり悶々と悩み始めてしまったときは、がむしゃらに塗るのではなく、逆に思い切って休む。
心機一転になるのでオススメです。
終わりに
今回のお悩み、いかがでしたか。
同じように悩んでいる方少なくないと思います。
誰だって、ただただ好きという気持ちで夢中になって楽しくやりたい。
でも、大人だから、今まで生きてきた経験があるから、いろんな考えが邪魔をして、悩んでしまう。
今回は自分の体験談を元に、書いてみました。
未だに悩むことはあるし、途中放棄することももちろんあるけれど、やっぱり「こだわり」を盛り込むことはとても楽しいです。
趣味ってただ楽しいんだと思っていましたが、結構悩むものなんですね。
でも、そういう悩みが生まれることも、趣味の醍醐味なのかもしれません。
ではまた次回〜。
最近では塗り絵向けの技法書も出版されています。
技法書で勉強したいという方、興味のある方はぜひ書店でお手にとってみてください。
追記:私も技法書に取り組み始めました
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